Let’s! ぶんしっし!! とは

楽知ん研究所から, 『Let’s! ぶんしっし!!』(れっつ ぶんしっし) がでました。

またまた,ナゾのひらがなタイトルがでましたね。 〈ぶんしっし〉とは,いったいどんなものなのでしょう??

〈ぶんしっし〉とは,「モルQカード」(制作:ねこの事務所)で遊ぶ,新しい遊び方のことです。

「モルQカード」は,1枚1枚が「原子カード」でできています。ご存知の方もいらっしゃいますね? カードを組み合わせて「分子をつくる」のですが,そのとき,トランプ遊びの「神経衰弱」のようにめくって組み合わせて遊ぶ,それが〈ぶんしっし〉です。

「分子をつくる」ときくと,なんだかムズカシそうなんですが……。

原子や分子なんて,「学校での理科で習ったけど,難しかった」,「科学記号で覚えさせられた嫌な思い出しかない」,という方もいらっしゃるのでは? ところがこのルールなら,不思議なことに,本当に誰でも原子や分子に親しめちゃうんですよ。

正直なところ,原子や分子なんて,とっつきにくくて親しめる気がしない(^^ゞ

DSC_0677 ふふふ。中高生や,お母さん方は,よくそう言われますね。でも小さなお子さんには,親しみにくいという先入観もありません。 私が〈ぶんしっし〉をやろう,と誘いますと,まずお子さんはやってみます。この時,お母さん方は,お子さんにはやらせてご自分は遠巻きに見ていらっしゃることが多いんです。「お母さんもごいっしょに」と勧めると,「いえ,私は苦手なので…」と。

そう,正直大キライだったんです。 そんな私にも分子はつくれますか? 

つくれます。つくれます。 そんな「原子分子なんて大キライ」だった人にこそ,もう一度たのしんでほしいですねぇ。だって,誰もがみんな「原子でできている」んですもの。「原子を組み合わせる」なんて,科学の知識がないとできるはずはない,と普通は思います。ですが,この〈ぶんしっし〉では,「記憶」で自分が組み合わせるのと,「運」で自然と組み合わさるので,誰でも「分子ができる」たのしさを味わえます。 できると,たのしい。だから,次がやりたくなる。それは子どもも大人も同じですね。

何歳くらいから遊べるのでしょう?

ゲームとしては,幼児から遊べますが,できることなら,仮説実験授業の授業書《もしも原子が見えたなら》を受けたあとでたのしみたいものです。そうなると,ある程度自分の体験とかさねてイメージができるので,やはり小学生くいらいからがいいでしょうね。 では小学生向けのあそびかといういと,そんなことはまるでなく,高校生も大人もつい本気になって,一度はじめるとみなさんなかなか止めません(^^ゞ  一度「分子ができる感覚」がわかると,次の分子もまたつくってみたくなるんでしょうね。

なるほど。ところで〈ぶんしっし〉の,「分子」はわかりますが「っし」は一体???

へんてこりんで,なんだかカワイイ名前でしょう?〈ぶんしっし〉 表紙 商店街用 冊子の本文をお読みいただくとわかるのですが,「由緒ただしい(?)造語」です(キッパリ)! ぜひ,お読みください。

じつは,この冊子は単なるルールブックではなく,読み物にもなっているんです。 発明発見紙芝居「原子論をはじめて唱えた人」(原作:板倉聖宣さん,編集:宮地祐司さん,紙芝居化:小出雅之さん)を収録しています。楽知ん研究所の講座に参加された方には紙芝居はすっかりおなじみですね。もともとは,楽知ん研究所が主催する 親子孫で〈たのしい仮説実験〉講座 で授業書《もしも原子が見えたなら》をとりあげた時に,講座の中で使うためにつくられました。それを今回の冊子のために一部手直しして収録したものです。 紙芝居や読み物の登場人物たちが,この『Let’s! ぶんしっし!!』の中では,あらたな役割で大活躍してくれているんですよ。

そもそも,楽知ん研究所がなぜ,カードゲームのルールブックをつくられたのでしょう?

そこですね。みなさんによく,聞かれます。 私たちは,〈びりりん〉〈どっか〜ん!〉(ほんとだ!ひらがなタイトルですね)といった〈大道仮説実験〉講座や,親子孫で〈たのしい仮説実験〉講座といった,誰もがたのしく学ぶことができる〈科学入門講座〉を全国の仲間と一緒に開催しています。DSC_0332

受付を済ませてから講座スタートまで,ちょっと時間がありますよね。スタッフは準備をしていて,みなさんは暇をもてあましていました。でも, あるときからこの時間に,いっしょに〈ぶんしっし〉をするようになりました。すると,参加者同士が自然に話をするようになったりで,講座がスタートするころには,参加者みなさんがとてもリラックスできているんです。私たちスタッフも,参加者のみなさんとお話ができて,とってもたのしいのです。

こうして,講座の前の単なるプラスアルファの時間は,予想をはるかに超えた,〈もうひとつのおたのしみの時間〉に変わったのです。 そんなことを紹介しているうち,「ぜひ,自分の講座でもやってみたい」という主催者が,また,参加者のみなさんからも「子どもと家でも遊びたいから,ルールが知りたい」とも。講座の感想にも「さいしょにやったカードゲームがたのしかった」というコメントもいただくようになってきました。 しかも,そのあそびの内容が,じつは原子論の本質に親しむのに絶好なんです。このたのしさは,もっと多くの人に知ってもらわなくちゃと思い,この本をまとめることになりました。

なるほど。もう,たくさんの方がこのルールで楽しんでいるんですね。
ルールは楽知ん研究所で考案されたんですか?ぶんしっしDSC_0671

市販されている「モルQカード」の説明書に,本来の遊び方「モルQ」以外の遊び方として,「分子衰弱」というアイデアが書かれています。それを見つけて,私が息子とやってみたのがはじまりです。

ところがこの説明だけでは全く遊べないのです。そこで,できるだけ〈モルQ〉(モルQカードで遊ぶ本来のルール)の役札を活かすようにして集中して遊んでみたら,まる1日くらいでルールとしてほぼ完成していました。これは,2012年の秋ごろのことでした。

2012年秋というと,今から約3年前になりますね。

そうなんです。もう3年以上経つんですね。ルールが完成したらみんなが遊べるか,というとやっぱりまだ遊べません。いっしょに遊べば理解できる簡単なことでも,言葉で説明するのはまた別問題なんですね。

私は,宮地祐司さんの講座で事務局をしていることがほとんどなんですが,講座の準備そっちのけで参加者のみなさんと〈ぶんしっし〉でたっぷり遊ばせていただいたので(宮地さん,ごめんなさいっ!),まず,このゲームのたのしさに気づくことができました。

講座の待ち時間に遊んでくださった講座の参加者のみなさん,楽知ん研究所の各地の主催者のみなさん,そして,講座を手伝ってくれたボランティアの学生さんの声で,ルールに戦略的な要素も加わって,いっそうたのしくなりました。

『Let’s!ぶんしっし!!』は,単なるルールBOOKではないんですね。

この冊子は,直接的には「モルQカード」の開発製作者の松平亨さん,さらにその元となった仮説実験授業の提唱者である板倉聖宣さんの肩にのった仕事です。そして,本来の「モルQカード」での〈モルQ〉の遊び方を紹介することを手掛けて紹介してくださったり,発明発見紙芝居を製作したり,私がイメージするイラストを描いてくださった小出雅之さん,なにより「こんな本にしてみたらどう?」と最初の構想を示してくださった,楽知ん研究所の代表理事で共著の宮地祐司さんが,冊子の完成へと導いてくださいました。

なんでもそうですが,ゼロから何かをつくりあげるなんてことは,誰にでもできることではありません。埋もれているアイデアや道具を,誰でも使える形にもっていくことも,魅力的なしごとです。

まだまだ世の中には,そういう埋もれかけた研究が山ほどあります。誰でも使えるようになることで,いつかの誰かの笑顔を生むかもしれない,そんな気持ちで,自分にできることをかたちにしていけたら,しあわせですね。(武藤実佐子)

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